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【要約&書評】<5分でわかる>「SNSマーケティング」 / 林雅之

〈この記事はこんな方におすすめ〉

・林雅之さんの「デジタル時代の基礎知識『SNSマーケティング』 「つながり」と「共感」で利益を生み出す新しいルール」の感想や要約を知りたい
・SNSマーケティングの基礎知識を得たい
・フォロワーやいいねが増えるコンテンツの運用方法を知りたい

〈この記事によってわかること〉

・書籍の要約
・SNSマーケティングの基礎知識
・つながりを生むコンテンツの作成方法

林雅之さんの「デジタル時代の基礎知識『SNSマーケティング』 「つながり」と「共感」で利益を生み出す新しいルール」を読んだのでその書評と要約をします。

Contents

デジタル時代のSNSマーケティング

SNSの利用者・利用時間の増加

今、マーケターが深く理解すべきメディアはSNS

数年前から一気に普及したSNSですが、利用者と利用時間が大きく増加しています。
ICT総研の「2017年度SNS利用動向に関する調査」によると、日本でSNSを利用するユーザーは年々増え続け、2013年末で約5,500万人だったのが2019年末では約7,700万人と40%も増加すると言われています。また、SNS利用率も56.4%から76.7%まで増加すると予想されています。現在でも日本の人口が約1億2,700万人であることを考えると、人口の半数以上の人がSNSを利用していることになり、多くの人にとってSNSは生活の一部になっていることがわかります。

総務省の調査によると、10代から30代までは休日に最も時間を費やしているのはSNSという結果が出ており、これがさらに広がっていく可能性があります。
顧客との接点を持とうとしたとき、SNSは外せないメディアであるということです。

平成28年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書(PDF)

急成長するSNSのマーケティング

マーケティングにおいてSNSを重視する理由について、「シェアする(情報拡散)」という他のメディアにはない特徴があると林さんは指摘しています。誰かに知らせたくなるコンテンツがあるとユーザーは気軽にそれらをシェアし、それを見た別のユーザーがさらにシェアし、あっという間に拡散していきます。その結果、拡散されたコンテンツが良いコンテンツであれば良いイメージが広がりますが、逆もまた然りなのです。使い方次第ということですね。

生活者の6つのステージを知る

SNSは有効なマーケティングのチャネルとなっていますが、使い方によって結果が大きく異なるということは理解できました。さらに使いこなす上で「生活者のステージ」をよく知ることが重要だと林さんはおっしゃっています。

生活者の購買行動モデル(SNSの目標)

生活者の購買行動モデル SNSの目標
1)認知 潜在顧客の認知獲得
2)興味・関心 ブランド好意度の向上
3)比較・検討 ブランド知名度の向上
4)購入 購入意欲の向上
5)リピート NPSの向上
6)推奨行動 LTVの向上

上記のように、ステージにおけるユーザーによって目指すべきところは異なるとのことです。

SNSは関係を中長期的に築いていく取組みのため、即効性を求めておこなう施策ではないなと個人的に感じています。むしろそれが見えてしまうと逆効果のため、自然なコミュニケーションとしておこなった方が効果は出やすいように思います。

SNSでフォロワーを増やすことの意味

SNSマーケティングをおこなう上でフォロワー数は重要な要素のひとつです。ではなぜフォロワーを増やす必要があるのでしょうか?結論としては、「フォロワーになってもらうことが、ブランドへの愛着度につながり、ひいては商品の購買にもつながっていくから」とのことです。本書ではある外資系企業の調査結果によりこの結果が示されています。

直感的にも、論理的に考えてもフォロワーになることでその後の展開がプラスに作用することは納得が行きます。興味がなかったらそもそもフォローしないですし、フォローを続けるということは多少なりとも好きという気持ちがあるはずです。その結果、購買につながることは自然な結果ではないでしょうか。

基本知識と目標設定

目標を決める(KGI・KPI)

闇雲にSNSを始めても、効果が出なければ続けるべきかどうか判断できません。その効果というのを何で測るかというのは最初に決めておくことが重要だと林さんは説いています。これはまさにその通りで、仕事において目標が不明確なものはその後よくわからないまま終わってしまったり惰性で続いていたりと良い結果を生みません。また、決まっていないということはきちんと考えられていない可能性もあるため、自分が取り組んでいるプロジェクトや施策があれば、正しく目標が定まっているかどうかを確認するようにしましょう。

ペルソナを立てる

目標が決まったら、次は誰にコンテンツを届けるかというのを具体的に掘り下げて考えます。本書ではペルソナを立てることを推奨しています。ペルソナとは仮想的に作った人物のことで、名前や性別、年齢や生活スタイルなどを細かく記したものです。これを定めることにより施策を検討する際にブレずに決めることができるようになります。

SNSを選ぶ

ペルソナが決まったら、次は利用するSNSを選びます。SNSによって利用するユーザー層は異なります。Facebookは30代以上が多いですし、Twitterは10代〜20代が多いです。LINEであれば全年代が多く分布しているなど特徴を押さえて利用すべきSNSを選びましょう。

予期せぬ事態を想定する

ひとりで運用する場合はそれほど問題にはならないかもしれませんが、企業や複数人で運用する場合はガイドラインを設けることが大事だと林さんは指摘しています。長期にわたる企業のブランディングを図るため、ここが曖昧だとブランディングが上手くいかないということだと思います。また、属人化してしまうのも運用面では良くないためそれを避ける意味合いもあるかと思います。

つながりを生むコンテンツの作成方法

SNSはデートの会話と同じ

SNSは従来の広告とは違い、距離感を意識しながら使用する必要があります。それを林さんは「SNSはデートの会話と同じ」と表現されています。自分を出しすぎず、相手が喜んでくれることは何かを考えながらマメにコミュニケーションをとる必要があります。一度ダメになってしまうと、そこから挽回するのは難しいので気を付けないとですね…笑。

ファンを満足させる投稿は複数のペルソナで作る

ペルソナを立ててそれに向けてコンテンツを投稿していくわけですが、必ずしもペルソナは1人ではありません。むしろ複数人であることの方が多いのではないでしょうか?その場合は、各ペルソナに向けてコンテンツを投稿していけば良いとのこと。特定のペルソナにだけ刺さるコンテンツや、どのペルソナにも刺さるコンテンツなど、上手く使い分ければ良さそうですね。特定のペルソナが不快に感じるコンテンツは投稿しないように気を付けたいものです。

最高のコンテンツに共有する5つの要素

林さんによると最高のコンテンツには以下の5つの要素があるといいます。

  1. タイムリーである
  2. 親しみやすい
  3. 共感できる
  4. 役に立つ
  5. ユーザー参加型である

ANA.JAPANや日産自動車株式会社、キリンラガービールなど企業アカウントで人気なアカウントはこれらの要素を意識して取り入れているようなのでチェックしてみてはいかがでしょうか?

ハッシュタグの選び方

SNSの特徴のひとつが「ハッシュタグ」の利用です。元々は開発者向けに作られた機能ですがユーザーがタグを付けて投稿するようになりいつの間にかそれが普及したという話は有名ですね。ハッシュタグにも人気のハッシュタグとそうでないものが存在しますが、自社のコンテンツと相性が良さそうなものがあれば乗っかるべきだと林さんは主張されています。Instagramはハッシュタグを使うのが当たり前になっているのでこの考え方は参考になりますね。

より多くの人にコンテンツを見てもらう3つの方法

フォロワーの資産を増やす方法は3つあります。

  1. 自社の資産のPR
  2. SNS広告
  3. プレゼントキャンペーン

Webサイトやメルマガなど既存のものをフル活用しつつ、SNS広告やプレゼントキャンペーンを用いて新たなユーザーにリーチしていくという考え方ですね。扱う商材によっては使いづらいものもあると思いますので、自社の商材に合わせて最適な形を模索していきましょう。

消費者とつながる運用方法

お客さまを探し出し、アクティブにサポートする

ユーザーが自社に関連する投稿をしている場合は積極的に交流を図ることが大事だと林さんはおっしゃっています。自社にとって好意的な内容だけでなく、不満や困りごとについて投稿しているユーザーもサポートすることで印象が逆転して好意度が上がることも期待できるとのことです。これはSNSの本質がコミュニケーションであることを考えるとその通りだなと思います。誠実に向き合ってくれる方が良いですからね。

みんなが喜ぶものよりもファンが喜ぶプレゼントを考える

キャンペーンを実施する前には注意しなくてはいけないことがあります。

  • キャンペーンで獲得したいフォロワー数やエンゲージメント率などの「目標」を立てておくこと
  • ファンではないユーザーをフォロワーを集めようとしないこと

です。そのキャンペーンを通じて何を達成したいのかということが曖昧だと効果測定を正しくおこなうことができませんよね。また、ファンでないフォロワーを獲得するとキャンペーンが終わった途端にフォローを外されるという可能性もあります。届けたい人に、望むプレゼントをお届けするという考え方が良いと思います。

コミュニケーションを図り続ける

キャンペーンを実施して終わりではありません。その後のコミュニケーションを継続させることがエンゲージメントを高めるのです。キャンペーンは関係性を築くひとつのキッカケに過ぎないと認識した方がより適切だと思います。

アンバサダーを育てる

SNSマーケティングを攻略する上では、企業が発信するだけではなく「アンバサダー」の存在が重要です。アンバサダーとは、マーケティングの世界においては「自社の商品・サービスを愛用しており、かつその商品・サービスの良さを積極的に家族や友人に伝えてくれる人」のことを指します。アンバサダーを対象にしたイベントや企画をおこなうことによりさらに愛着度を高め、それを拡散につなげていくということが期待できます。

LINEビジネスコネクトを活用する

LINEビジネスコネクトは、友だちであるユーザーと1対1でコミュニケーションをとれるツールです。LINE公式アカウントはLINE上で友だちとなったユーザーに企業メッセージを一斉送信するものなので両者は異なるものです。ヤマト運輸が再配達依頼などの機能をLINEビジネスコネクトを用いて利用していますので気になった方は確認してみてください。企業に合わせてカスタマイズできるLINEビジネスコネクトですが、LINE@と異なり無料プランがなく月額費用が数十万円かかることから相応の予算を用意していないと使えないところが注意点です。

まとめ

今や多くの人が当たり前に使うようになったSNSですが、その本質はコミュニケーションであり、相手との距離感を大切にしながら地道に運用していくものだと改めて思いました。しかし、その部分を大切に運営していくと中長期的には大きな効果になるというのを企業アカウントなどを見て感じているため、活かせるところは活かしていきたいですね。本書は体系的に書かれていて全体像を把握するのに適していますので、SNS担当者やマーケティング担当者に特におすすめです。

ABOUT ME
MASAYOSHI MURAYAMA
■プロフィール:「ユニークをスタンダードにする」がミッション。社会における人々の役割の最適化と居場所づくりを目指して、経験と実績にもとづいた【成果につながる】デジタルマーケティング教育とメンタリングを軸にしたキャリアデザインやコミュニティ運営をおこなっています。■略歴:大学卒業後IT企業でデジタルマーケターとしてのキャリアをスタートし、東証一部上場の大手クライアント(BtoB)の目標を12ヶ月連続で達成。その後株式会社エス・エム・エスにて新規事業(BtoC)のマーケティングを担当し1年で利益を2倍以上に増やし黒字化に貢献。その後同事業の責任者になると同時に別の新規事業(BtoC)の立ち上げもおこなう。2018年11月ユニスタ株式会社を創業。
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