〈この記事はこんな方におすすめ〉
・マーケティングの仕事で成果が出ず苦しんでいる方
・残業続きでマーケティングの仕事が辛いと感じている方
・マーケティングの仕事が嫌で転職を考えている方
〈内容の要約〉
・課題設定や優先順位付けを見直すことで解決できる可能性がある
・会社や信頼できる第三者に相談することでヒントが得られる
・それでも難しいと感じた場合は転職することも視野に入れる
Contents
マーケティングの仕事が辛い原因
仕事が辛いときは誰にでもありますが、マーケティングの仕事においても同様に辛いと感じるときがあります。マーケティングの仕事が辛い大きな原因は、マーケターは他の職種に比べて人数が少ない割に業務範囲が広いことです。分析業務はやろうと思えばいくらでもできるし、市場の理解をしようと思うとこれまた終わりがなく、気付くとあっという間に時間が過ぎています。人数が少ないということもあり、同じ目線で相談できる相手がいなかったり、相談する時間すらも持てずに業務で忙殺されるという方もいらっしゃるかと思います。その状態を放置すると体調を崩してしまうことにもなりかねないため早めに対処することをおすすめします。今回は、現役マーケターの視点から、マーケティングの仕事で辛いと感じる時の例と原因、対処法についてお教えします。
マーケティングの仕事が辛い例:成果が出ない
〈状態〉
マーケティングの仕事においてなかなか成果が出ない。様々な施策を打っても費用対効果が改善せず、それが原因で事業全体の進捗に遅れが出ている。原因を分析するにも一苦労で、それをしているだけでも結構な時間を消費する。新たな改善策を打たないと前に進まないし、報告用のレポートも作らなければいけなかったり、とにかく時間が足りない。このまま続けていても状況が改善する気がしない…。
〈対処法〉
成果が出ない時のほとんどの原因は、「課題設定」を間違えていることによるものです。例えば、サービスのWEBサイトに集客する役割を担っていたとして、なかなかコンバージョンに結びつかなかったとします。その際に、コンバージョンが少ないから「どうすればコンバージョンが増えるか?」と手段のところで考えてしまいがちですが、実はその前の「どんな人を集客すべきか?」といったところが違っていたりするケースも多いのです。
[課題]コンバージョンが少ない
[解決策]コンバージョンを増やすべき
という問題の裏返しのような課題はあまり良い課題ではありません。
なぜなら、それは当たり前だからです。
そうではなくて、
[課題] コンバージョンが少ない
[原因] ターゲットの選定を間違えている
[解決策] 20代の男女ではなく30代のビジネスパーソンに対象を変えて訴求をおこなう
という風に、ひとつ手前あるいはふたつ手前に戻って考えることが重要です。
例えば、そもそも市場がとても小さいところで頑張っていたとしたら、それはコンバージョンが少なくて当然なのです。十分な大きさの母数があるにも関わらずコンバージョンが少ないなら有効な改善策はあると思いますが、市場が小さい場合は市場を広げることの方が重要かもしれません。そしてそれは難易度が高すぎるかもしれません。狙うセグメントが違うか、セグメントは合っているけどインサイトを正しく捉えられていないためポジショニングを間違えているか、それらも合っているけど単純にオペレーションのところの詰めが甘いか、様々な可能性があります。
このように、
現状把握 → 課題設定 → 原因特定(仮説)→ 対策実施 → 効果検証
というプロセスで事態をフラットに認識することで新たな解決策が見えてくることも多いので、広い視点で捉えてみましょう。
マーケティングの仕事が辛い例:やることが多すぎて残業が常態化している
〈状態〉
自身の業務範囲が広すぎて時間がいくらあっても足りない。企画書をまとめたり分析をしたり、事務スタッフが対応しきれないものの作業もカバーしたりとランチを取る時間もない。成果を出すために日々奮闘していて気付くと夜遅い時間になっていた…というのもしばしば。自分の時間が取れるのは休日だけだし、このままだといつか体を壊すのではと心配。
〈対処法〉
これは主に優先順位付けに起因する問題です。1日24時間、仕事においては原則として8時間ほどの勤務だと思いますが、この中で最大の成果を出すにはどうするか?という視点で考えないと、同じ成果を出すためには時間を拡張するしか方法がありません。残業が常態化している人や組織においては生産性を高くするという発想が乏しかったりするため、そのような状況になっていたら意識的に自身を変える努力が必要です。
優先順位付けのポイントは、大きく分けて下記3つの観点で考えるのがおすすめです。
- インパクトの大きさ
- 即効性
- 気軽さ
まず、成果というからには何らかの指標があると思います。それが伸びることで会社としての利益が増加し、組織あるいは個人としての評価にもつながってくるかと思います。そのため「この施策によってどの程度成果にインパクトがあるか」という視点で必ず考えるようにします。注意しなくてはいけないのが、成果指標を見誤るという点です。例えば、資料請求数を増加させることを目標のひとつに置いたとき、それを増やすこと自体は確かに素晴らしいことなのですが、会社視点で考えたとき本当に欲しいのはそこから実際に契約に結び付くかどうかということのはずです。契約数が増えないのに資料請求だけが増えてもあまり意味はないのでそうならないように注意しましょう。
また、仮にインパクトが大きかったとしても効果が出るまでに5年かかるとなった場合にはなかなか難しいものがありますよね。5年あったら世の中はだいぶ変わるのでもう有効な施策ではないかもしれません。「できるだけ早く成果が出てくるものの方が良い」という判断になります。例として、リスティング広告とSEOが挙げられますが、SEOは費用対効果が良い手法のひとつですが効果が出るまでに少なくとも数カ月は要します。規模が大きくなればなるほど、競合性が高ければ高いほどその時間軸は長くなる傾向にあるため腰を据えて取り組む必要があります。一方でリスティング広告は、それなりに高い費用を必要とする代わりに上手くいけばすぐ成果を上げることができます。事業の特性やフェーズに応じてどちらをやるか、あるいは両方やるかなどを決める必要があるということですね。
最後に、「それがどの程度取り組みやすいものなのか」、という観点があります。例えばこのような例で考えてみましょう。「自社の商品と親和性の高い会社を買収することで、PR効果によるインパクトも大きいし、すぐに効果が出るしその後の展開持続性もある!」と。では、一体いくらお金が必要でしょうか?交渉するためのコネクションはあるのでしょうか?先方はそもそも買収の話に前向きなのでしょうか?このように、言うのとやるのとでは話が違ってきますよね。経済事情であったり、人間関係であったり、様々な観点でその施策の実行可能性というのを考える必要があるのです。今までこのように考えてこなかった方はこれらを合わせて考えるようにするだけでも仕事の進め方は変わると思います。また、適切に他者の力を借りるということもおこないましょう。仕事は関係者の役割を最大限に発揮することで最高の成果が生み出されます。自分ですべて抱え込むのが良いわけではないので、その点も気を付けて仕事をしてみましょう。
マーケティングの仕事が辛い例:良い企画が思いつかない
〈状態〉
新しいサービスのプロモーションを任された。話をもらったときはとても嬉しくてやる気に満ち溢れていたけど、なかなか良い手段が見つからない。締切は迫ってきているのにまだ資料が1ページもできあがっていない。他社のマネをしようとしたら、「それでは1番になれないのでは?」と言われて確かに…と引き下がってしまった。企画ってそもそもどうやってやるんだろう?
〈対処法〉
こちらに関しても、先の例で挙げたようにそもそも見ているところが違うという場合が多いかと思います。それ以外のところだと、ユーザーの理解をより深めるという点があります。例えば自分自身が30代だとしたとき、高校生向けの商材におけるマーケティングをするとしましょう。この時、自分が高校生の時の生活スタイルを考えていたとしたらそれは大きな誤りですよね。いまの高校生がどのように生活をしていて、何に心が動かされ、どんな悩みを感じているのかというのを深く理解する必要があります。そのためにはインタビューをしたり、実際に高校生が使ってるサービスを自分でも使ってみたりと、ユーザーになりきることが必要なのです。高校生に限って言えば、最近はSNSの普及によって「自分を実際以上に良く見せること」が流行っています。承認欲求の表れでもありますが、自己実現につながる場合もあり人によって使い方は様々です。昔はなかった「シェアする(拡散する)」という行為が日々当たり前のようにおこなわれており、こうしたユーザーの心理を深く理解することで新たな企画が生まれるかもしれません。同業種あるいは異業種で既におこなわれているものをマネすることが必ずしも良いとは限らないので、ゼロベースで考えた上で進めることをおすすめします。
マーケティングの仕事が辛い例:仕事のオンオフがない
〈状態〉
毎日マーケティングの仕事に従事していると、目に入ってくるものすべてがそのヒントに思えてくる。最初は自分も仕事人間になったのかなぁって少し嬉しくも悲しくもあったりしたけど、最近は成果が下がってきていて何とかしなきゃという焦りからか、休みの日に休めなくなってきている。仕事でがんばるためにも、しっかりリフレッシュしたいんだけど、みんなのためにも早く成果上げなきゃという気持ちが空回りしている感じで辛い…。
〈対処法〉
マーケターの宿命かもしれないこの悩み。ここが辛くないという人はマーケターに向いているかもしれません。人の心について考えることが好きで、日々思考を巡らせている人にとってはオンオフの境目は曖昧でしょう。でも、上手く行っているときはそれで良いかもしれませんが、上手く行っていない場合は本当に辛いですよね。スマートフォンで常時インターネットにつながっているので嫌でも情報が入ってしまったり、成果を出さないといけないプレッシャーから休日も自社のサービスについて考え続けたり…。
このまま過ごしてもあまり状況は改善しない可能性が高いです。あなたは十分がんばっています。このような場合は、意識的に仕事から離れる習慣を作りましょう。具体的には、家でひとりで過ごす場合はスマートフォンの電源をオフにして、好きな映画や音楽などを思いっきり楽しんだり、外で過ごす場合はスマートフォンは必要最低限の使用に留めて、目の前にあるものに真剣に取り組み仕事を一時的に忘れることが大事です。
日々のマインド面のケアも重要です。上手くいかないときほどネガティブな思考になるので、そうならないように自分自身をより良い方向に導くための考え方を身に付けましょう。自己啓発系の本を読んでも良いですし、信頼できる誰かに相談するのも良いと思います。
それでも辛いあなたへ
マーケティングの仕事が辛い。色々改善できるようにがんばってみたけどそれでも状況が変わらないという方は、これまでとは違う方法を考えた方が良いです。
具体的には下記3つが挙げられます。
- 会社に相談する
- 信頼できる誰かに悩みを相談する
- 転職を検討する
会社に相談する
マーケティングの仕事はやろうと思えばどこまででもできてしまうため、抱え込んでしまうと本当に辛くなってしまいます。高い成果が出ていなかったとしても、会社のためにがんばっているあなたのことは上司や周りの人はわかってくれているはずです。そこで、素直に会社に相談してみましょう。仕事で辛いと思っていることを正直に話せば、何か動いてくれるかもしれません。業務の割り振りに偏りがあった場合は一部が別の人のところに移るかもしれないですし、上司の視点で何か良いアドバイスがもらえてそれがヒントになるかもしれません。
信頼できる誰かに悩みを相談する
会社には相談しづらいとなった場合、信頼できる第三者に相談してみるのがおすすめです。直接的に利害関係がなく客観的にアドバイスをくれる人が良いでしょう。なぜならそうでないと相手は利得にしたがって動く可能性が出てくるためです。「いまこの人に辞められたら自分が困るから、ここは辞めないようにアドバイスしておくか」と、本人が意識的であれ無意識的であれ行動に表れてしまうケースも多いのです。フラットに話を聞いてくれて、的確にアドバイスをくれる人を探して相談してみましょう。
転職を検討する
相談する相手がいない、相談しても解決しなかったという場合は、環境を変えるという選択肢もあります。不確実性が高い現代においては転職が当たり前になってきているので、必ずしもネガティブになるとは限りません。たまたま今の環境があなたには合っていなかったかもしれないので、その可能性を探るためにも転職サービスに登録して求人を探すというのは有効です。すぐに転職する意思がなくても、いまの自分の経験やスキルが市場でどのように評価されるのかを確かめることで望む形の転職ができそうかどうかは判別できます。究極的には、いつ辞めたとしても次に雇ってくれるところが複数出てくるくらいの実力があれば良いのです。もしマーケティングの仕事自体が合わないと感じた場合も、他の仕事がどのような条件で募集されているかを知るために転職サービスに登録するのは良いと思います。
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マーケティングの仕事の辛さは誰もが一度は通る道です。その辛さにぶつかったときにすぐ逃げるのではなく、まずは解決策を探してみましょう。それでも難しい場合は会社や信頼できる第三者に相談してみましょう。それでも難しいと感じた場合は環境を変えてみるのもおすすめです。ひとりで抱え込むと体調を崩してしまうリスクがあるため、くれぐれもその点はご注意くださいね。
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